「じゃあ、私は行く。男がメソメソ泣いてんじゃないよ?さっさと林さんが幸せになれる方法、探しなね。」
イライラした気持ちを、少し押さえて言った。
拓海くんの方から、ホテルの方に向き直り歩き始めた。
「待って!!」
拓海くんに呼び止められた。
その声は少し震えていたんだ。
そして、足音がだんだんと近付いてきた。
立ち止まった私。
振り返ると、間もなく腕を握られた。
「愛菜の幸せって、何だろう…。」
は……?
何それ……
自分で探しなさいよ……
「それ…、私に聞いてどうするの?」
「だって、分かんないから。」
「私は林さんじゃないから、知らないよ。」
「でも、さっき分かってるような口振りだったじゃん!」
………。
そんな事、言われたって。
「アンタが探さなきゃ、意味ないじゃん。そういうのって……。お門違いも甚だしいね。」
私はそう言うと、拓海くんの手を振り払って歩き出した。

