「てか、あんなにデカい家に1人とか…。」
「元は奏と住んでたんだけど、中学になってアパートに引っ越しちゃって。」
「お前ら、いつから親と暮らしてないんだよっ!」
「私が中学入ったときだから、奏は小5だったかな??」
口をアングリ開けた2人。
その後、後ろから男の子達の声がした。
「いいなぁ。一人暮らし…」
その声は、拓海くんだった。
「どうして??」
つーちゃんが拓海くんに言った。
「だって、親に怒られる事もないし。それに自由じゃん!!俺、一人暮らしできたら幸せだなー。親に縛られるとかウザいだけだし……」
「その気持ちは分かるけど…。」
「けど??」
「一緒にご飯食べて、話して笑ったり怒ったり……。でも、寂しくないでしょ?」
「まあ、そりゃ。」
皆、つーちゃんと拓海くんの会話を静かに聞いている。
「もう幸せを手に入れている人には、本当の幸せっていうのが何なのか……分かってないんだよ。」
「……」
「幸せだと見えてても、それを実際味わってみると……。それは…、幸せかな?」
私達は、何も言えず。
つーちゃんの悲しそうな表情を、見る事しかできなかった。

