彼女はうなずく。 「生きていくとは 少なからず 愛に触れるということです。」 「それではまた 愛に苦しまなきゃいけないのですか?」 「それはあなた次第です。」 私は気難しい顔で返した。 が、彼女は私の顔が見えていない。 私は肩を落とした。 「欲張りになると あの人に目を取られますよ」 彼女は最後に忠告した。 「あの人って?」 彼女はにっこりと笑う。 「誰も姿を見たことがない あの人ですよ」