案内された部屋は一人用にしては広かった。
清潔感のある白い壁に、調度品は飾り気が少ないけれど上品な光沢がある。
腰かけたベッドはフカフカというより、ふわふわした羽のような感触。
さすがに来賓用の施設だけあって普段泊まるところより格段に良い部屋だ。
(ここなら充分に旅の疲れを癒せるだろう)
リュートはここと向こうの部屋をへだてている壁を見つめた。
大きな出窓から射しこむ陽光が窓枠を映している。
街に着いたときよりはかたむいてきたが、闇を呼ぶ夕暮れにはまだ早い。
大きな荷物を置いて剣と貴重品だけを持った軽装──と言っても最初から鎧を身につけていないが──になると、となりの部屋の扉を叩いた。
鍵がかかっていないようなので開けてみたら、ベッドでくつろいでいるティリスが見えた。
ドアノブを握ったまま声をかける。
「俺は街で情報を探す。お前はここで──」
──休んでいろ。そう、言い終わる前に
「あたしもいっしょに行く!」
ベッドから跳ね起きて裸足で駆けてきた。
「無理に来る必要は──」
「やだっ、絶対行く!!」
「来るな」という意味で言ったのではないが、なぜかダダっ子のようにかぶりを振った。
清潔感のある白い壁に、調度品は飾り気が少ないけれど上品な光沢がある。
腰かけたベッドはフカフカというより、ふわふわした羽のような感触。
さすがに来賓用の施設だけあって普段泊まるところより格段に良い部屋だ。
(ここなら充分に旅の疲れを癒せるだろう)
リュートはここと向こうの部屋をへだてている壁を見つめた。
大きな出窓から射しこむ陽光が窓枠を映している。
街に着いたときよりはかたむいてきたが、闇を呼ぶ夕暮れにはまだ早い。
大きな荷物を置いて剣と貴重品だけを持った軽装──と言っても最初から鎧を身につけていないが──になると、となりの部屋の扉を叩いた。
鍵がかかっていないようなので開けてみたら、ベッドでくつろいでいるティリスが見えた。
ドアノブを握ったまま声をかける。
「俺は街で情報を探す。お前はここで──」
──休んでいろ。そう、言い終わる前に
「あたしもいっしょに行く!」
ベッドから跳ね起きて裸足で駆けてきた。
「無理に来る必要は──」
「やだっ、絶対行く!!」
「来るな」という意味で言ったのではないが、なぜかダダっ子のようにかぶりを振った。


![その信頼は「死ね!」という下種の言葉から始まった[エッセイ]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.763/img/book/genre12.png)