「来賓って、いつもはどういう人が来るの?」


 施設に案内される道すがら、好奇心旺盛な乙女は前のめりで団長に尋ねた。


「主に魔法学院関係の方ですね。名のある学者や神官・魔導師が特別講師として招かれることがあります。
 貴女も神官なら『ルーディアンナ魔法学院』は聞いたことありませんか?」

「ルーディアンナ──知ってる! お父さんから聞いたことあった。そっか、カルシャンテにあったんだ……」


 どうやらその筋の者には有名な学院らしい。つぶらな瞳を生き生きと輝かせて話に夢中になるティリス。

 魔法学に精通していないリュートにとっては興味のない、どうでもいい話だ。
二人の会話をBGMにフードの隙間から街の様子を観察する。


 リュートは外見的特徴が悪魔と似ているため、マントのフードを目深(まぶか)にかぶっていた。
幸いティリスの髪色が目立つおかげで、道行く人はリュートを気にも留めない。

 空色の髪はどこへ行ってもめずらしい。

 が、どうやら金髪に緑眼もカルシャンテの街ではそこそこめずらしいようだ。街の住人は大概、黒・茶・灰色の髪や瞳をしている。



 そうこうしているうちに、大きな白塗りの館──宿泊施設──に到着した。