「叶音……。」 「×××番、面会だ。出なさい。」 看守に言われて女は、無駄な動作なく部屋を出て面会室に黙って向かう。 「利久(りく)っ!!」 「静粛に。面会時間は、30分です。」 看守は、出て行った。 「利久…」 「姉さん。」 兄弟は、壁を隔てて逢えた事を喜び合う。 「利久…叶音の行方は、解った?」 女は、聞きたかった事を聞いた。 「見つけた。居場所は、解った。これから迎えに行くよ。」 「頼むわ。あの子は、きっと…辛い思いをしてるはずよ。」