「あなた、叶音が病院に居るらしいわよ。見て来てね。」 家に帰るなり妻から厭味のように聞かされた。 「なんだ?何か学校であったのか?」 「知らないわ。あなた明日様子見に行ったら先生にでも聞いて。」 冷めた夫婦生活だった。 「コンコン」 「あら、やだ。沙世、お部屋に行きましょう。」 妻は、沙世の手を取る。 「お前行けよ。」 「私は、だめよ。沙世の通院があるから、頼んだわよ。」 妻は、言って沙世を連れて居なくなった。 「全く。」 夫は、ソファーに深く座ってタバコで一服した。