保健医は、目覚めた叶音に声をかけた。 「先生…もう遅いから帰って下さい。」 叶音は、窓の外を見てから保健医に言った。 「でも…家族の方が来てないのよ。」 「大丈夫です。」 叶音は、心配してくれる保健医に笑顔を見せた。 「椿さん…」 「大丈夫ですから。」 叶音は、言ってまた笑顔を見せる。 「解ったわ。じゃあ…また明日ね。」 保健医は、言って帰って行った。 「…留美……そんなに私が憎いの?」 叶音は、言って泪を流した。 倖せになれない糸が紡がれ始めた。