戍が聞いた。 「戍くんっ!!」 叶音は、なんとか叫んだ。 「開けろ!開けないと教師と押しかけるぞ。」 「ちっ、良かったな。」 男子たちは、ドアを開けて出て行く。 男子たちに戍は、小さく“お疲れ様”と言ってすれ違った。 「叶音ちゃん、大丈夫?」 戍は、駆け寄って叶音に手を差し延べる。 叶音は、弱々しく戍の手を取って胸の中に倒れ込んだ。 「戍くん……」 「さぁ、行こう。」 戍は、叶音に制服を着せると抱き上げて倉庫から出る。