「おはよう、お嬢さん。」


 声をかけられて叶音は、飛び起きた。


「心配しないで、人さらいじゃないですよ。」


 神父は、クスクス笑って少女を見つめた。


「さぁ、スープをどうぞ。」


 神父は、テーブルにトレーを置く。


「何かあったら礼拝堂に居ますから。」


 神父は、言って部屋を出て行った。


「…っ」


 叶音は、泣いた。

 行き場もない…価値もない…

 叶音は、どうする事も出来ずに泣くしかなかった。



「莉菜、叶音捜してくるから。」


「行ってらっしゃい。」