叶音は、祭壇前に来ると気を失って倒れた。



 慈しみ深き 友なるイエスは
 かわらぬ愛もて 導きたもう



「ん…?あっ、ちょっとお嬢さん?」


 神父は、叶音に歩み寄って抱き上げた。



 世のなわれらを
     棄て去るときも

 祈りにこたえて
     労りたまわん



 神父は、叶音を奥の部屋のベッドで休ませる。


「君は、誰だい?」


 神父は、優しく言って布団をかける。

 行き場のない少女に見えた。



「利久、居た?」


「いや…何処行ったんだ?」