男は、煩く言う。


「利久、お前父親になるなら姪の面倒みてる場合じゃないだろう?自分の嫁さんと子どもを守れよ。」


「さっさと帰れっ!!」


 利久は、追い出した。


「利久…私、叶音ちゃんを邪魔だなんて思った事ないから。」


「解ってる。」


 利久は、妻を抱きしめてキスをする。


「(…“邪魔”……)」


 叶音は、裏口からそっと外に出た。


「煌……淋しい。」


 叶音は、呟いて草原を歩く。
 風に吹かれて日が沈むまで叶音は、居なくなる事を考えていた。


「叶音―。」