柔道部に入部して判ったこと。

 柔道部って、むさ苦しくて、ごつい人ばかりじゃないんだってこと。


 うちの柔道部には、飛び抜けてかっこいい上領先輩のほか、日本男子!って感じの木村先輩や、女の子みたいに細くて可愛くてすばしっこい三田村先輩など、女子にファンがいる先輩や同級生が結構いるのだ。


 故に。

 いつも、格技場の扉の外には見学者が鈴なり。

 私は毎日、誰かの恨みがましい視線を浴びている…とほほ。


 反す反すも、私なんかがよくマネージャーになれたなぁ…。



 そしてね、驚いたことに上領先輩以外の誰もが、あのぶっきらぼうな木村先輩までも、結構女の子達に優しいこと!

 手を振ったり、部活の後には最後まで待っていてくれた子たちとお話なんかもしている。


 …上領先輩は飽くまでも無視! さっさと帰っちゃう。

 やっぱり、女の子に冷たいんだ。

 それって、結構身につまされる。

 私だって先輩の眼中には入っていないのは判るから。

 先輩に冷たくあしらわれる女の子達を見ていると、それに自分の姿を重ねて見てしまう。


 マネージャーとして、ほんの少しだけ先輩の傍にいる。

 けど。

 私も同じ、その他大勢のひとりなの。


 恨みがましい視線を送られる程に近い存在でもなければ、余裕もないんだよ…?







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