齋藤が、姫乃の紹介を続けている。

「お前ら喜べよぉ。待望の女子マネージャーだぞ! 一年の…」

「は〜い! 山本 姫乃ちゃんですよね!!」

 部員のなかでいちばん背が低くて細い、女の子のように可愛いらしい顔をした男の子が答えた。ネームを見ると、どうやら2年生らしい。


「なんだ、よく知ってるなぁ…入学してまだ2週間なのに」


「超有名っすよ〜!」


 今度は、癖毛でかなり体格のいい背の高い2年生が答えた。

 姫乃はぎょっとした。



 …どうして、私を知ってるの…? 私、なんかしたかな?



「そーか。ま、可愛いと得だな、山本」


 齋藤の大きな手に、背中をばんっと叩かれて、姫乃はつんのめりそうになるのを必死で堪えた。


「ってことで、宜しく頼むな。後は全員で自己紹介でもして、仕事を教えてやってくれ。何かあったら職員室にいるから。じゃ、山本がんばれよー」


 そう切り上げて、齋藤は格技場を後にした。




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