そんな姫乃が恋をした。

 あの娘って、面食いだったのねー…。

 恋には奥手で、どんなに男子に人気があっても自覚がない、あの姫乃が一目惚れ。

 今なんて、必死でバレンタインの手作りチョコの本と睨めっこしてる。

 或る意味、凄いと思うのよね。上領先輩のオーラって。あの姫乃でさえ、虜にしちゃうんだもん。

 お蔭で、この数カ月の間にどれだけの男子が姫乃にフラれたか。

 罪なひとたち。

 でもね、ふたりはお似合いだと思うんだ。

 …頑張って欲しい。

 姫乃なら、あの先輩でも振り向かせられると思うの。

 だから、くじけないで、今度こそ勇気出してね。


 ―…妹を溺愛している夕涼おにいちゃんには悪いけど。

 姫乃の最高の笑顔が見たいじゃない?

 だから、あたしは精一杯協力したい。

 おにいちゃん、許してね。

 …そして、少しはあたしを見てくれると嬉しいな…。



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