「ごめんね。先輩が姫乃には絶対云うなって…だから今まで黙ってた。今日も、松本さんに呼び出されるなんてタダゴトじゃないから、何か大きな音でも聴こえたら先輩呼ぼうって」


 そうか。

 だから、瑠璃は携帯握り締めてたんだ。


「でもさ、あたし結構感動したりしてたんだよね」

「…感動?」

「うん。先輩は陰からも姫乃を守ろうとしてるんだな~とか、他の奴に奪われたくないどころか、近付けさせたくない程に姫乃のことを想ってるんだって」

「……そんなこと」

「だからあたし、あんたに告白しなよって云ったんだ」

「……そっか」

「…あたしね、上領先輩って二股かけたりとか、女の子弄んだりとか、そんな器用なこと出来るタイプじゃないと思うんだよね」

「うん…」


 私も、そう思うよ。

 でも。

 先輩のことが好きすぎて、不安なの。

 先輩はそんな最低な人間じゃない。解ってる。

 それなのに。

 松本さんに云われたことが頭に響く。


 彼を信じたい。


 でも、怖いよ…。

 

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