「……そう、ユウの…」


 松本さんはそう呟くと、ふっと短く息を吐いて笑った。


「彼って独占欲が強いでしょう?」

「ど、独占欲?」


 髪を揺らして腕を組み、彼女は挑戦的な瞳で私を見下ろした。


「ユウの癖ね」

「...癖?」

「昔からそう。セックスの後に、必ずキスマークを残していくのよ」


 せっくす、の後、必ずキスマークを残していく?


「こいつは俺のものだ、って意味よ。解るでしょう?」


 そう云って、彼女は豊かなウェーヴヘアを無造作に纏め上げ、細い首を私の方へくねらせた。



 彼女が示す首筋には、くっきりと紅い花びらが滲んでいた。







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