「こんなことなら、昨日のうちに変な意地張らないで聞き出していたらよかった」
怪しかった昨晩の行動。そして次の日の失踪。絶対、なにか関連があるはず。
思い返せば、後悔だらけ。あの時、こうしていれば、という自責の念。後悔しても意味なんてないのに。
「でもまだ消えたと決まったわけじゃない。ひょこっと戻ってくるかも……とりあえず、執務室に行って様子でも見てくるか」
何となくだけど、今日の晩も長くなりそうだ。
イリヤは騒ぎに便乗して、セリナの執務室の方へゆっくりと歩いて行った。
セリナの執務室にこうして赴くことになろうとは。人の流れにのって、行けば簡単に辿り着く。
初めて入るその部屋を、イリヤは場違いかもしれないがと思いながら、感慨深く眺める。
部屋はその時の状況のままにしているのか。主が少し席をはずしている程度にしか見えなかった。
机の上で整とんされている書類。一方で散らばり、ペンが上に置かれているものも。他にも資料なのだろうか、本なども置かれている。
そして、勤務机の前にある休憩用の机と身体を伸ばせば寝る事も可能なソファ。
先ほど女が行っていた通り、ポットにお茶をいれて飲んでいたようだ。カップには飲みかけのお茶が残っている。
冷めている。このお茶を淹れたのはもう随分前のことのように感じる。
「ん、これはしみ?」
ポットの周りをじっと見ていると、床の絨毯に小さなしみのようなものがあるのが分かった。
散らばるように落ちたしみ。でも、明らかに後で拭き取ったような後がある。触ってみると、その部分だけ、固まっている。
色から考えて、このお茶のしみに間違えない。だが、しみは拭き取っているのに、お茶は片づけていないのは明らかにおかしくないか?
「それにここにしみがあるのなら、カップは端の方から落ちたはず。小さなしみだから勢いよく零したわけでもなさそうだし」
イリヤの中で嫌な考えばかりが頭を廻る。もしかしたら、これは失踪どころじゃなくて、事件性のあるものではないかと。
怪しかった昨晩の行動。そして次の日の失踪。絶対、なにか関連があるはず。
思い返せば、後悔だらけ。あの時、こうしていれば、という自責の念。後悔しても意味なんてないのに。
「でもまだ消えたと決まったわけじゃない。ひょこっと戻ってくるかも……とりあえず、執務室に行って様子でも見てくるか」
何となくだけど、今日の晩も長くなりそうだ。
イリヤは騒ぎに便乗して、セリナの執務室の方へゆっくりと歩いて行った。
セリナの執務室にこうして赴くことになろうとは。人の流れにのって、行けば簡単に辿り着く。
初めて入るその部屋を、イリヤは場違いかもしれないがと思いながら、感慨深く眺める。
部屋はその時の状況のままにしているのか。主が少し席をはずしている程度にしか見えなかった。
机の上で整とんされている書類。一方で散らばり、ペンが上に置かれているものも。他にも資料なのだろうか、本なども置かれている。
そして、勤務机の前にある休憩用の机と身体を伸ばせば寝る事も可能なソファ。
先ほど女が行っていた通り、ポットにお茶をいれて飲んでいたようだ。カップには飲みかけのお茶が残っている。
冷めている。このお茶を淹れたのはもう随分前のことのように感じる。
「ん、これはしみ?」
ポットの周りをじっと見ていると、床の絨毯に小さなしみのようなものがあるのが分かった。
散らばるように落ちたしみ。でも、明らかに後で拭き取ったような後がある。触ってみると、その部分だけ、固まっている。
色から考えて、このお茶のしみに間違えない。だが、しみは拭き取っているのに、お茶は片づけていないのは明らかにおかしくないか?
「それにここにしみがあるのなら、カップは端の方から落ちたはず。小さなしみだから勢いよく零したわけでもなさそうだし」
イリヤの中で嫌な考えばかりが頭を廻る。もしかしたら、これは失踪どころじゃなくて、事件性のあるものではないかと。


