森は思った以上に似たような道が多い。だけど、空の星ははっきり見える。右に進むべきか、左に進むべきか分からない。
　だけど進んだあとの星の配置を見ていたら、何となく、進んでいる方角は分かってきた。
　しかし、ここが何処かも分からないのに、方角を頼って意味あるのか。そんなことを気にしない。ただ、抜けれることを信じて、進むのみ。


　夜の森はとても幻想的。時間の流れを不思議と感じさせない。逃げているはずなのに、妙に落ちついてしまう。
　どのくらいの時が流れているのか、それは分からない。１時間たったのか、それとももう何時間もたったのか、はたまたまだ10分程度しかたっていないのか。
　そんな狂った時の感覚で逃げていて、ついに、森の外、開けた丘のような場所が見えてきた。

「やった！ 出られる」

　そう、その時が一番、高揚している。そして、気が緩んでいる。
　その瞬間、何が起こったのか、分からなかった。

「んなッ……!!」

　気配もなく背後へ近付き、何かで頭を殴られた。それも今までに経験したことのないような痛み。
　あまりの衝撃、痛みに吐き気が起こる。そして、身体は支えられることなく、その地面へと叩きつけられた。