「よし、いよいよか」
ご飯を食べずに逃げる事ができればそうしたいが、朝ごはん以来食べてない。別に食べなくても平気かもしれないが、逃げる為の体力をつけないとと思うとどうしても、手が伸びる。
いや、ただ単に食い意地がはっているだけなのかもしれないが。
やっぱり、ご飯は無駄にはできないし!
今までになく、急いで食べ終わった後、いよいよ行動に移す。
まずはドアノブを壊すこと。部屋にあった金属を研ぎ、ナイフ状にしたものを持ち出し、周りを切り込んでいく。
嵌めやすいように、パズルのピースのような形に切って。
「思ったよりも、簡単にできてしまったわ」
小さなナイフで、ドアノブを切るなんて体験した事なかったけど、かなり時間がかかるものだと思っていた。
意外にも分厚いから。でも、簡単に切れてしまうなんて、よっぽどぼろかったのか。
「女神さまのご加護ね」
そう思って、ゆっくりと扉を押す。灯りはほのかに暗い。人の気配はない。まさに絶好の逃げ場だった。
音を立てずに大きく開いて出る。そして扉を閉めた後、例のドアノブを嵌め直し、次の行動に移った。


