【長】黎明に輝く女王

「ふぁあ、よく寝たぁあ」

 沢山寝たあとの清々しさ。だけど、周りを見るとぜんぜん清々しくない。
 周りの暗い雰囲気は何一つ変わっていなかった。

「ん? 何、ここ」

 確かに自分が寝ていたのはベッドである。だけど、周りがかなり粗末な感じがした。
 仮眠室は豪華でないとはいえ、一通りの家具は置かれている。なのに、ここにはベッド……しかない。
 むしろ、物置とか倉庫といったところだ。

 そしてようやく気付いた。

「ここどこ!?」

 はっとなって、身体を起こす。どこなのか確認するために、ドアか、窓の方に行こうとした。
 が、行けない。歩けない。そのことで、ようやく気付く。

「何コレ? く、首輪」

 犬や猫がするような首輪、よりは大きく明らかに動物用でないだと思われる。なぜ、こんなものが。
 しかも、首輪にはリードがあり、ベッドの柵と繋がっている。犬小屋にいる犬のような姿。
 リードが邪魔をして、近くの範囲でしか動けないでいた。


「ど、どういうこと。いつの間に」

 どうしてあたしは首輪に繋がれているの! いつの間に、こんな場所にいるの!
 そ、それよりもあたしはいまどういう状況なの。ゆ、誘拐!? 拉致、監禁!?
 他にへんなところってないよね。服はちゃんと来てるよね。怪我なんかもしていない。

 今、どういう状況にたたされているのか、少しずつ把握しだすど同時に、焦りが生まれる。
 沢山の疑問詞とともに、頭の中が混乱してくる。パニック状態に陥る。

 繋がれた首輪で、限界まで歩き、何か情報を得ようにも、何もない。立ちつくす。


 と、その時。小さく扉の開く音がした。