「自分の気持ちにまで嘘はつかなくてもいいんじゃないの」

 何も答えられなかった。ナーディアの言っている事はすべて当たっている。
 家族のことだって、イリヤのことだって。

「一緒にいなくて寂しい、言いかえれば一緒にいると嬉しい、そういう気持ちが愛に繋がっていくのよ」


 それに気がついた時。あたしは嬉しいという気持ちよりも、不安の方が大きかった。
 あたしなんかが。あたしだと、迷惑じゃないか。いつか不幸な目に合わしてしまうのではないか。


 いつしか一緒に居るのが当たり前になっていて、傍に居て楽しいと思い始めた。
 傍に居ないと寂しい。孤独なあたしを叱り、それでいて気持ちを分かってくれる唯一の人。

 その人を不幸にしたくない、そんな気持ちも愛に繋がるというのなら……こんな気持ちなんて持ち合わせない方が楽だったかもしれないのに。
 それでも相手を思わずにはいられない。自覚することってこんなにも苦しいの?