「貴女が思う以上に、家族というのはお互いを思いあうものなのよ? もう少し、素直になって自分の気持ちを言ってみるのもいいと思うわ」
「で、も」
「家族だけじゃない。私だって、セリナのことはとても大切よ。我が子同然にね」

 そう言いながら、優しく頭を撫でてくれる。温かい。そういえば、小さい頃は、こうやって頭を撫でてもらうのが嬉しかったなぁ。


「そして、イリヤくんだって、セリナのことは大切だと思うよ?」
「え、どうして」

 イリヤの話になっただけで、寝ぼけていた頭が覚めてしまいそうだった。

「まあその反応。貴女も満更でもないみたいね」
「ご、ごまかさないで!」
「まあまあ、落ち着いて考えて。嫌いだったら、当に逃げているでしょう? 賢そうな男の子だし、力も智恵もありそう。それに、一緒に居てくれるだけで意味は大きいものよ」
「それでも、最近は会ってないし……嫌味だって聞くこともないから、そんな別に」

 手元の紅茶を眺める。自分でもみじめだと思う姿。なんで、こんなことでこんな気持ちになるんだろう。

「ああ、だからなのね。貴女が元気がないのって。寂しいんでしょ?」
「そんなこ、とは!」

 あるかもしれない。だから必死になって、気持ちを隠そうと、紛らわそうとしていた。
 でも、その気持ちに気付いたら、相手は迷惑になる、そう思って、隠し続けてきた。