「あら、そういえばそのイリヤくんは居ないのね。王宮に居た時はよく一緒にいるみたいだったけど」
「あ、あれは! 王宮内での暮らし方を教えていただけだし、式典頃は父さんにあたしの監視役を頼まれたって言っていただけで!」
「あぁ、もうおかしいわ。何をそんなにむきになっているのよ」

 明らかにナーディアの方が優勢だった。あたしは顔が熱いのをこらえることで精一杯。


「昔からそう。本当は家族の事が大好きなのに、一人でいろいろため込んで、我慢して」
「い、イリヤは家族じゃないし」
「あらぁ? でも秘玉の主なら十分その可能性も考えられるじゃない」

 確かにもともと秘玉の主とは後継者の伴侶として召喚されていたという。だからって今回はそうともいえないでしょう!
 今までの秘玉の主って女性ばっかりだったし、でもイリヤって見方によったら女性に見えなくも……って違う、そんなことは関係ない!


「もっと素直になったらいいのに。こんな場所で話しても疲れるわね。部屋に行きましょう」

 結局、流れは全てナーディアにもっていかれ、そのまま彼女の部屋まで行くことになった。