あぁ、もう! 考えれば考えるほど、答えなんて出やしない。
 あ、そういえば、あの男こうも言っていた。

 “無駄に争ったって、何も生みやしない”

「争う……あたしと誰が?」

 あの場では当然、リクハルドのことだろう。でも、それだけじゃない気がした。
 あたしの勘だけど。
 そう、たとえば、あたしと、反対派の野郎どもとか。

 怪しい。いや、おかしい? 今、何かがおこっている?


 あたしの勘はよく当たる。
 もしかしたら、今こうしている間にも何か始まっているのかもしれない。

 そう思うと、いてもたってもいられなくなった。


 勢いよく、椅子から立ち上がり、行動に移す。

「とりあえず、怪しそうなじじいどもでもあたってみるとしようか」


 そう思った自分に少しだけ笑いが生まれる。今までならこんなこと思っても、行動することなんてなかったのに。
 あぁ、あたし自身が何かしら変わり始めているのかもしれない。理由は分からないけれど。

 ただ一つ言える事。
 今のあたしに迷いなんて何一つないということだ。