一瞬だった。
ずっと防御しかしなかったのに、切り込みにかかる。
は、速い! このままだと、押されてしまう!
足に力を重き、必死に倒れないように踏ん張る。
ああ、そうか。速いだけでなく、力も強いのか。あたしの攻撃の力は所詮、女、なのか。
力ではおそらく敵わない。なら、なら……速さで防ぐしかない!
防ぎながら、相手の動きを読む。一瞬でもチャンスが生まれれば、一撃。
正面から、同じ動きではなく、サイドから自然に攻め込む。
(今だ……!!)
今まで一番高い金属音。再び、辺りが静かになる。
その音が意味するものは。
少し離れたところに倒れる剣に向かって歩く。その剣を左手に持ち、あたしは男のところまで行った。
「はは、よかったな。お姫様が勝って」
「……どうして」
左手に持った剣を相手に手渡し、自分の剣は鞘に収める。
未だににやついた顔の男に向かって、あたしは聞いた。
「どうして、最後、手を抜いたのよ?」
その一言。辺りで見ていた者たちもざわめく。その事に気付いていたのか、気付いていなかったためなのかは分から
ない。
ただ、その男――リクハルドは一瞬だけ、厳しい顔付きになり、再び笑う。
ずっと防御しかしなかったのに、切り込みにかかる。
は、速い! このままだと、押されてしまう!
足に力を重き、必死に倒れないように踏ん張る。
ああ、そうか。速いだけでなく、力も強いのか。あたしの攻撃の力は所詮、女、なのか。
力ではおそらく敵わない。なら、なら……速さで防ぐしかない!
防ぎながら、相手の動きを読む。一瞬でもチャンスが生まれれば、一撃。
正面から、同じ動きではなく、サイドから自然に攻め込む。
(今だ……!!)
今まで一番高い金属音。再び、辺りが静かになる。
その音が意味するものは。
少し離れたところに倒れる剣に向かって歩く。その剣を左手に持ち、あたしは男のところまで行った。
「はは、よかったな。お姫様が勝って」
「……どうして」
左手に持った剣を相手に手渡し、自分の剣は鞘に収める。
未だににやついた顔の男に向かって、あたしは聞いた。
「どうして、最後、手を抜いたのよ?」
その一言。辺りで見ていた者たちもざわめく。その事に気付いていたのか、気付いていなかったためなのかは分から
ない。
ただ、その男――リクハルドは一瞬だけ、厳しい顔付きになり、再び笑う。


