「ふーん、あの公爵の、ねぇ。どうせ騎士団に入っているってことは、長男じゃないってことでしょ」
「は、はい。たしか、次男だとか」
リンド公の次男。道楽に耽っていると噂の。どうして突然、騎士団なんかに入っているのだろうか。
あたしは、再びその男の方を向く。
「姫ならばこんなところにいたらいけないの? そういうあなたこそ、なんで今頃わざわざ騎士団入っているのか」
「はぁん、随分強気だこと。あの親父が推す姫がどんな女かと思えば、姫じゃなくて唯の乱暴女じゃないか」
どうして、こうもあたしの周りには、こんな者が多いのか。
そして、どうしてこうもあたしの気は短いのだろうか。
「あんた、そこまで言うのならあたしと勝負なさい」
手に取った剣を男に向けながら、そう言い放った。


