皇王夫婦、議会の大臣たちは後者の考え方だった。
 秘玉を持って生まれたにはその者こそ、次の皇王であると。
 彼らがそう言ったからには、国もそのような考えで動くことになった。

 しかしながら古参の貴族などは反対だった。表立って何か進言したり、問題をおこしたりすることはない。

 だが、その女児の周りでは今日までに不可解で危ない事件が何度かおきているのだ。
 それを一体どう説明しようか。



 こんな危ない状態だからこそ、その女児ーーセリナが公に出ることはない。
 民には皇女が誕生した、とだけしか伝えられていない。


 にも関わらず、16になった今もこうして不可思議な出来事が繰り返されている。
 よって、事情を知る特定の地位にいる人物の仕業としか思えないのだ。

 影に隠れて生きているならまだしも、なぜこのような目に合わなければならないのか。

 あたしはずっとそのことに縛られている。
 出生を呪ったことも一度や二度ではなかった。