「にしても、セリナ様のいう“陰険で腐った野郎”っていうのは、候補が多すぎて誰の事だかわからないなぁ」
「リュカの家庭教師をしているヤツだよ」
「あぁ、ラーティネン様か。若いのに殿下の家庭教師、その上美形ときたから若いメイドたちがよく騒いでいるよ」
自ら名前を言うのも嫌になる。そんなヤツを好む女がいる事は知っているが、あたしはそんな気持ち分かりはしない。
思い出しただけでも、嫌で忘れるように頭をふる。
そんなあたしを何も言わずじっと見ているイリヤ。
「……キミっていつもこんな感じなの?」
「こんな感じってどんな感じか分からないけれど、あたしは常に“こんな感じ”だよ」
「へぇ、そんなに食べても太らないの?」
呆れたような笑みを浮かべて聞かれる。
イリヤは一言一言にとげがある意地悪なヤツだと思うけれど、あたしが嫌っている連中とは何か違うように思う。
だから、特に怒る事もなく、至って普通に答える。
「その分、体を動かすから。昔から剣を振り回すのが好きで、今でも鍛練はしているよ。しないと体が鈍るから。なんなら、この後一緒にする?」
「それは遠慮しておくよ。僕は野蛮人のように剣を振り回すことはしたことないし。頭を働かせた方がよっぽどいい」
確かに、イリヤが剣を振り回す姿は想像がつかないというか、似合わない。
どちらかというと部屋に籠って、策を巡らせている姿の方が似合う。
「ははは、これはちょうどいいね! いろいろと無茶されるセリナ様のストッパーのようで、バランスが取れている」
「もぅ、おばちゃんったら!」
こんな気軽な話も窮屈な生活とは無縁だから、とても居心地がよい。
大皿に盛られていた果物にパイ、添えられたスープをたっぷり食べると、心も落ち着いてきた。
「リュカの家庭教師をしているヤツだよ」
「あぁ、ラーティネン様か。若いのに殿下の家庭教師、その上美形ときたから若いメイドたちがよく騒いでいるよ」
自ら名前を言うのも嫌になる。そんなヤツを好む女がいる事は知っているが、あたしはそんな気持ち分かりはしない。
思い出しただけでも、嫌で忘れるように頭をふる。
そんなあたしを何も言わずじっと見ているイリヤ。
「……キミっていつもこんな感じなの?」
「こんな感じってどんな感じか分からないけれど、あたしは常に“こんな感じ”だよ」
「へぇ、そんなに食べても太らないの?」
呆れたような笑みを浮かべて聞かれる。
イリヤは一言一言にとげがある意地悪なヤツだと思うけれど、あたしが嫌っている連中とは何か違うように思う。
だから、特に怒る事もなく、至って普通に答える。
「その分、体を動かすから。昔から剣を振り回すのが好きで、今でも鍛練はしているよ。しないと体が鈍るから。なんなら、この後一緒にする?」
「それは遠慮しておくよ。僕は野蛮人のように剣を振り回すことはしたことないし。頭を働かせた方がよっぽどいい」
確かに、イリヤが剣を振り回す姿は想像がつかないというか、似合わない。
どちらかというと部屋に籠って、策を巡らせている姿の方が似合う。
「ははは、これはちょうどいいね! いろいろと無茶されるセリナ様のストッパーのようで、バランスが取れている」
「もぅ、おばちゃんったら!」
こんな気軽な話も窮屈な生活とは無縁だから、とても居心地がよい。
大皿に盛られていた果物にパイ、添えられたスープをたっぷり食べると、心も落ち着いてきた。


