【長】黎明に輝く女王

　ご飯の事、習い事の事、面白かった事などいろんなことを話してくれるのだが、あたしはそれに導帰していいのか分からないまま時間は過ぎて言った。

「もうそろそろ、家庭教師が来る時間でしょ？ あたしたちは帰るから」

　どのようにして切り出そうかと思っていたのに、こんなことは思った以上に簡単に喋ることが出来る。
　ただ、そう言って席を立ったあたしに対して、嫌だと言いながら抱きついてくるリュカ。
　イリヤはその隣で何も言わずに、眺めているだけ。

「リュカ……これだけは勘弁してよ」

　これから来るであろう家庭教師とは会いたくないのだ。
　ヤツはリュカの支持者であり、あたしのことは毛嫌いしているから。

「リュカも勉強だけど、それはあたしもだから分かって」

　これは本当のことである。正式に後継者として指名されたということは、自らも公務を少しずつして、仕事を覚えなければならない。
　初めのうちは半日だけであるが、慣れれば一日に伸びるだろう。

「わかった。おねえちゃんが、りっぱな女王様になるんだったら、ぼくだっておねえちゃんをてつだってあげる！」
「はは、そうだね。ありがとう」

　まあ、やる気が出ているのはいいことだから、何も言わないでおこう。
　とりあえず、上手く進みそうで安心した。