この国、神預国<シロラーナ>は女神の恩恵により700年近く栄えている。
その恩恵を受けるために彼女が遣わした二人の女性がいた。それが神寵姫と管理者である。
神寵姫は神殿で直接声を承り、皇王に伝える。対して、管理者は皇族に直接管理を行い、争いがおこないように監視する役割がある。
その管理者担当の話になるが、そういった理由のためこの国では、秘玉という石に妃の決定を行わせていた。
その石は皇太子となるもの、大体は長子だが、その子が持って生まれ、成人し、時が来るまで管理者が保管する。
時が来れば、管理者がその乙女を迎えにいくようになっていた。
しかしこの度は前例のない事態が起こった。
……その秘玉を持って生まれたのは、女児であった。
何がいけないのか?
シロラーナでは皇太子は男児だと暗黙の了解で決められていると言うことだ。
つまり、歴史に習い、その女児の継承権剥奪か、それとも慣習に習い、初の女性皇太子になるのか、といった問題がおこった。


