言っている意味はよく分からなかったけど、あたしたちの仲が正反対っぽいってことだけは何となく伝わった。
 確かに、あたしはリュカに接するのを拒んでいる。いろんな意味で。

「まあ明日になれば分かるよ、どうしてあたしがそんなに拒んでいるのか」

 そう。実際に“ああいう場面”をみたら、あたしの気持ちを理解してくれる。

「で、それは置いといて。何でずっと口をふさいでいたのよ! リュカが部屋に入った時点で離してくれたっていいじゃないの!」
「でもそうしたら、その場で叫んでいたでしょ? そんなことされたら、周りに迷惑だから」

 当たっている。当たっているだけに、何にも言えない。

「でも、でも! あんなことするなんて」
「お姫様のプライドでも傷つけてしまった?」

 プライドなんて、違う。そういうのとはなんか違う。傷ついたというよりかは、恥ずかしかったという気持ちの方。
 でも、そんなことあたしは上手く伝えられない。

「まあ何にしろ、もうこんな時間だ。お互いあとは自由に、そして休もう」

 イリヤはそれ以上なにも言わずに、自分の部屋の中へと戻って行った。
 残ったのは、あたし一人。……どうしたらいいのよ!

 自分の気持ちがよく分からず、でも叫ぶこともできずに、一人立ちつくす。