【長】黎明に輝く女王

 優雅に紅茶を飲みながら答える姿にも憤りを感じた。あたしばっかり、焦っているようで。
 でも感じずにはいられない。勢い余って机を叩いた瞬間、カップの中の紅茶が揺れた。

「そりゃあ、キミが変な行動しないようにするためじゃないの? 皇王から直々に頼まれたし」
「……くそおやじぃ、あたしは信用ないってことなの!?」
「本当に口悪いね。そんなんだから見張られるようなことになるんだよ」

 確かに、あたしは口も悪いし、手も足も出る。女っぽくないことも自分で分かっている。
 でも直接言われるんじゃなくて、イリヤを通して間接的に言われたのがショックだった。
 ああ、あたしって信用されてないんだ。

「それなら、周りをあっと驚かせるようなお姫様を演じて見せるわよ! さっそく準備するから出て行って!」

 思い立ったらすぐ行動。あたしより幾分か背の高いイリヤを力の限り引っ張り、背中を押して外に出させた。

 誰もあたしのことを信用していないのは分かってる。家族にだって見放されていることくらい。
 なら、それを見返してやる。そして、認めてもらえるようになりたい。