【長】黎明に輝く女王

「これは派手じゃないの。シンプルな作りでいいんだけど」
「そうですか……? まあ姫様は着飾らなくても十分お美しいから、華やかな仕上がりでなくても、大人っぽく仕上げたらいいですかね」
「宝石とかも最小限でいいから」

 採寸をし、色や装具なども決め、デザインが出来あがった。
 なかなか時間がかかったが、まあ納得する仕上がりにはなった。式典用に夜会用の2着を決め、一方は白基調の、もう一方は淡い水色のドレス。
 一応、金の髪の色に合うようにと考えている。

「完成は式の1週間前を目途にしています。完成次第、お持ちいたします」
「あとは任せたから」

 こうして少しずつ、2か月後の予定がたち始めていた。
 目録の確認に、自分の動きの確認、さまざまあるが、それでもやはりどこか他人事のように感じていた。
 特に部屋の中から移動せずに、すべて事を運んでいたことからもそう思うようになったのかもしれない。

 だからか、ここ最近は批判を浴びることもなかったがために、あたし自身油断していた。