【長】黎明に輝く女王

 あたし、眠っていたのかもしれない。だって、気がつけば辺りは暗く、物音も聞こえない。
 どれくらい寝ていたのだんだろう。あぁ、もしかしたら、今のこの時も夢かもしれない。

「寝ていても、夢でもお腹は減るものね」

 周囲はあたしが寝ていても大して変わらないみたい。起こすわけでもなく、ご飯を用意するわけでもなく。
 ただ、それだけの存在なのだから。腹が減ったら自分で何かしら探して、作ればいいだけの話だし。
 そう思って寝室の外に出た時だった、イリヤに声を掛けられたのは。

「ぐっすり寝たら気が済んだ?」
「……どうしてここにいるの」
「まだ寝ぼけてる? そこの部屋をキミから貸してもらっているんだけど」

 そういってとある部屋を指差す。あぁ、そうだった。あたしの部屋の一部を貸し出していたんだっけ。
 あたしの部屋は寝室の他にも2,3室あり、この中央を介して行くことができる。
 思い出したように、そうだったと言うと、そこで会話は途切れた。

 一応、この中央室で食事を取るのだが、なんというか、やはりというべきか、用意されていない。
 別になんてことないけれど。