それから十年ほど後の未来。決意を胸に秘めた少女は、いよいよ女皇王<じょおう>として即位する。

 その間にはまた語りきれないほどの、出来事があり、喜びがあり、悲しみもあった。
 しかし少女は常に前向きに生きた。

 大人になり、女となり、母となっても、彼女らしく歩み続けた。
 小さな出来事、一つ一つの成果はちっぽけでもそれらが積み重なり、それが彼女の実績へと繋がっている。

 国の流通を豊かにするため貿易を推奨し、また国内の農産業にも力を入れた。
 外交では、近隣国と同盟を組み、より安定した国交を築いた。


 いつしか、彼女の周りには笑いが零れ、友に溢れる華やかなものとなっていった。
 古い時代のよき心を残し、今の時代に合った政策を取り入れる。それが彼女らしさにもなって。



 フルラージュとは、遠く古の、まだ女神様と共に生きた時代に咲いていた花の名前である。

 女神の意志を受け継ぎ、よりよい未来へと切り開く――そんな女皇王には、公私ともに傍で支える人の姿があった。
 それが彼女に差し込んだ一筋の光。世界を動かす事になった、そんなはじまりの物語……。



* end *