30分ほど立食を楽しんだ後、主催者側からの挨拶がある。それに向けて中央の方へ移動する。
すると、すでにそちらの方にはあたしを待ち構えているかのようなイリヤの姿があった。
「ずいぶん、楽しんでいるじゃない」
そうかけてきた声はいつもよりも少し低く、決して楽しそうには聞こえなかった。
「……そんな風に見える? それならきっとイリヤが見えなかったからね」
あたしったら、またそんな事言っている。そんな見栄を張ったような言い方をしても意味がないのに。
でもそれがあたしの精いっぱいの主張であることに気付いて欲しいという気持ちもある。
「たくさんの人に声を掛けられて嬉しそうだったし。やっぱり皇女様は貴族が好きなんだ」
「あれは社交辞令ってやつでしょ。それをいうなら、イリヤの方が楽しそうじゃない。あたしがいない方が自由にできて」
そう言って、イリヤの黒い瞳をまっすぐに見つめる。
「そう。キミがそう感じたなら……ただ、僕自身はそんなに面白くもなんともないんだけど」
イリヤはそれ以上にじっとあたしを見ていたかと思うと、こちらの方に迫ってくる。
「え? ……ッや」
それはもう、ほんの数センチしか離れていないぐらいに。くっついてもおかしくない距離に。
「今は無理だけど、あとでゆっくりお話しようか」
見下ろして喋る姿はとても威圧感があり、あたしは何も言えなかった。
ただゆっくりと、頷き、この距離をどうにかしたいと思って。
すると、すでにそちらの方にはあたしを待ち構えているかのようなイリヤの姿があった。
「ずいぶん、楽しんでいるじゃない」
そうかけてきた声はいつもよりも少し低く、決して楽しそうには聞こえなかった。
「……そんな風に見える? それならきっとイリヤが見えなかったからね」
あたしったら、またそんな事言っている。そんな見栄を張ったような言い方をしても意味がないのに。
でもそれがあたしの精いっぱいの主張であることに気付いて欲しいという気持ちもある。
「たくさんの人に声を掛けられて嬉しそうだったし。やっぱり皇女様は貴族が好きなんだ」
「あれは社交辞令ってやつでしょ。それをいうなら、イリヤの方が楽しそうじゃない。あたしがいない方が自由にできて」
そう言って、イリヤの黒い瞳をまっすぐに見つめる。
「そう。キミがそう感じたなら……ただ、僕自身はそんなに面白くもなんともないんだけど」
イリヤはそれ以上にじっとあたしを見ていたかと思うと、こちらの方に迫ってくる。
「え? ……ッや」
それはもう、ほんの数センチしか離れていないぐらいに。くっついてもおかしくない距離に。
「今は無理だけど、あとでゆっくりお話しようか」
見下ろして喋る姿はとても威圧感があり、あたしは何も言えなかった。
ただゆっくりと、頷き、この距離をどうにかしたいと思って。


