今回の夜会は主催者側と言う事もあり、会場に入るなり上辺だけの適当な話をしていく。
「こんばんは、姫様。ご機嫌うるわしゅう」
「どうもご丁寧に、ゆっくりしていってください」
古参の貴族たちはこちらが笑い転げるぐらいに、あたしに媚びへつらう。まあ心の中でどんな風に感じているのかは分からないが。
それでもとても滑稽なその姿に、あたし自身笑みがこぼれてそれはそれでいい感じだろう。
「よぉ、姫様。相変わらず不気味な笑顔をはりつけてるな」
一人になった時に、後ろから声を掛けられ振り返る。
そこには何時か大変お世話をかけられたリクハルドが、飄々と立っている。
「不気味は余計よ」
そう言って、手に持っていた飲み物を飲み干す。
あたしよりも年下というわりには、背も高く青年期に差し掛かるであろう色気で溢れており、彼の周りにも淑女のみなさんの視線が集まり、少し居た堪れない。
「今日は護衛かしら。その格好から察するに」
「そんなところだ。まあいろいろあったからリンド家としてはしばらく自粛している」
華やかな貴族の衣装ではなく、必要最低限の軽装に護身用の剣を携えたところからも伺える。
恐らく兄の伯爵の方もしばらくは領地の方でひっそりしているだろう。
「じゃあ気軽に、ってわけにもいかないから、ほどほどに楽しめばいいわ」
「そりゃあその通りだけど、ストレートにいうなあ」
「気を使う必要もないでしょう。まあデビューしたての初々しいご令嬢から手慣れたお姉さま方の視線が気になるのでこの辺で。適当に頑張って」
できることなら早くからその場を離れたいと思っていたの、と付け加えながらさっと身を引く。
その事に対してリクハルドは、呆れたようだった。
「こんばんは、姫様。ご機嫌うるわしゅう」
「どうもご丁寧に、ゆっくりしていってください」
古参の貴族たちはこちらが笑い転げるぐらいに、あたしに媚びへつらう。まあ心の中でどんな風に感じているのかは分からないが。
それでもとても滑稽なその姿に、あたし自身笑みがこぼれてそれはそれでいい感じだろう。
「よぉ、姫様。相変わらず不気味な笑顔をはりつけてるな」
一人になった時に、後ろから声を掛けられ振り返る。
そこには何時か大変お世話をかけられたリクハルドが、飄々と立っている。
「不気味は余計よ」
そう言って、手に持っていた飲み物を飲み干す。
あたしよりも年下というわりには、背も高く青年期に差し掛かるであろう色気で溢れており、彼の周りにも淑女のみなさんの視線が集まり、少し居た堪れない。
「今日は護衛かしら。その格好から察するに」
「そんなところだ。まあいろいろあったからリンド家としてはしばらく自粛している」
華やかな貴族の衣装ではなく、必要最低限の軽装に護身用の剣を携えたところからも伺える。
恐らく兄の伯爵の方もしばらくは領地の方でひっそりしているだろう。
「じゃあ気軽に、ってわけにもいかないから、ほどほどに楽しめばいいわ」
「そりゃあその通りだけど、ストレートにいうなあ」
「気を使う必要もないでしょう。まあデビューしたての初々しいご令嬢から手慣れたお姉さま方の視線が気になるのでこの辺で。適当に頑張って」
できることなら早くからその場を離れたいと思っていたの、と付け加えながらさっと身を引く。
その事に対してリクハルドは、呆れたようだった。


