【長】黎明に輝く女王

 ドレスを着た後、鏡を見て確認するが、やはり信じられなかった。
 馬子にも衣装とはいうけれど、はやりドレスの力は偉大なのか。こんなあたしでも、お姫様のように見えるのだから!
 自分で姫と認めると言うのもなんか、アレだけど……。


「それでもやっぱり肌が見えるわね。そんなに寒くないからいいけど、やっぱり恥ずかしいなぁ」
「まあ何を、自信をもってください! それにその姿でイリヤ様をノックアウトするのでしょう?」
「んなっ……!」
「まぁまぁ、姫様は初なところもあるからそう言っては恥ずかしがりますわ」

 と、メイドたちで会話が盛り上がっている。
 この露出にはそんな意味があったの!? そんな風に考えたことなんてなかった分、いろいろ考えると、顔が無性に熱くなった。

 それに、イリヤも……やっぱり“こういうの”が好きなのかな。
 なんて気になりだしたら、止まらなくなり、メイドたちの策にはまり、きれいに変身してひと泡吹かせようと考えた。



 仕度をはじめてから数時間。辺りは少しずつ夕焼けの色に染まり、夜会独特の華やかな賑わいを見せ始める。


 そんな中、あたしは自室で柄にもなく、鏡の前で自分とにらめっこをしていた。

「うーん、こんなんでいいのかしら」

 女の子らしいピンクのドレスに、黄色のパステルカラーのショール。髪はアップでまとめ、翡翠が埋め込まれた髪篝がゆらゆらと揺れる。
 シンプルながらも手の込んだ造りをした首飾りとおそろいの腕輪に、指輪。極めつけは黄金の靴。

 普段、宝石などでは着飾らない分、とても派手に見えた。