「え、夜会を開く?」
狭すぎず、広すぎない執務室の中。あたしの前に堂々と座っているのは、父親である皇王。
今、この部屋の中にはあたしたち二人しかいない。
だからこそ、気軽に話せる。けれど、ここまで端的に言われると反応にも困る。
だって……あたしはこれまで夜会に参加したことがない。
正確にいうと、参加したことはあるが、最初に顔を出すだけで、後は自主退場していた。人々が集まって、好き勝手話し合うあの雰囲気がどうも慣れないのだ。
皇女という立場上、最初だけという了解の元、参加していた。
けれど今回は、ううん……今回からはそんなことも、もうできなくなるだろう。
正式に後継者として指名された以上は出なければならない。しかも主催が皇族ならばなおさら。
戸惑い、何も言う事ができないでいたあたしを見て、父は笑う。
あたしがそんな反応するのは、お見通しとでもいうかの如く。
「何、セリナが思っているようなことはもう起こらないだろう」
「で、でも……」
結局、あたしは根本的なところが何も変わっていない。人がたくさん集まると、陰口でたたかれることを恐れてしまう。
人の噂が怖い、それでいて気になってしまう。そして知ろうとするとショックを受ける。
人間一人なら何も言う事がなくても、二人、三人と集まると自然と思っていることは口に出てしまうもの。
だからこそ、多くの人が集う場というのは苦手なのに……なんで、そんなことが言えるのよ。


