少し落ち着くようにと、中に通され、出されたお茶を一口飲んだ。温かいお茶に少し落ち着きを取り戻してはいるが、今なぜあたしはここにいるのか、なんて事を考え出していた。
「ここは科学研究所です。もともと、内務の組織の一つにもあったのですが、今回所長の一声がきっかけで大改造を行い、現在に至ります」
お茶を出してくれた若き青年は、満面の笑みでそう話す。
「そ、そうなの。それで、その所長って?」
「僕だよ」
「ふぇ?」
あたしの前に再び現れたのはイリヤ。彼もまた自信満々、とても嬉しそうな顔をして話す。
「え、そんな何時の間に?」
「んー、話があがったのはキミが誘拐されていた時? 実際、始動したのは戻ってきてからだけどね」
「き、聞いてないんだけど。それにあたしが戻ってきてからってことは、旅行に行く前よね!?」
「旅行じゃなくて、目的は視察でしょ。まあ確かに行く前にこの研究所はゆるくオープンしたし」
なに、その“ゆるくオープン”って、まるでお店みたいな。しかもゆるく、って。
あたしは全く知らされてなかった事実に、驚きを通り越して、少しショックだった。
だって、イリヤからもだれからもそんなことは聞いていなかったんだもの。
「あたしに内緒で、なに馴染んじゃっているのよ! なによ、知らないのはあたしだけってこと? 別に興味もないし、いいけど……」
「そんなに明らかにすねることないじゃん」
「す、すねてないもん!」
とはいえ、イリヤの顔を見て言う事はできなかった。
下を向き、不貞腐れているのは多分、誰が見ても一目瞭然なんだろう。
「それに、知ったとしてキミがショックを受けるかもしれないって思ったから」
「どうして、そんな風に決めるのよ」
「……嫌な事、思い出しても知らないよ?」
「ここは科学研究所です。もともと、内務の組織の一つにもあったのですが、今回所長の一声がきっかけで大改造を行い、現在に至ります」
お茶を出してくれた若き青年は、満面の笑みでそう話す。
「そ、そうなの。それで、その所長って?」
「僕だよ」
「ふぇ?」
あたしの前に再び現れたのはイリヤ。彼もまた自信満々、とても嬉しそうな顔をして話す。
「え、そんな何時の間に?」
「んー、話があがったのはキミが誘拐されていた時? 実際、始動したのは戻ってきてからだけどね」
「き、聞いてないんだけど。それにあたしが戻ってきてからってことは、旅行に行く前よね!?」
「旅行じゃなくて、目的は視察でしょ。まあ確かに行く前にこの研究所はゆるくオープンしたし」
なに、その“ゆるくオープン”って、まるでお店みたいな。しかもゆるく、って。
あたしは全く知らされてなかった事実に、驚きを通り越して、少しショックだった。
だって、イリヤからもだれからもそんなことは聞いていなかったんだもの。
「あたしに内緒で、なに馴染んじゃっているのよ! なによ、知らないのはあたしだけってこと? 別に興味もないし、いいけど……」
「そんなに明らかにすねることないじゃん」
「す、すねてないもん!」
とはいえ、イリヤの顔を見て言う事はできなかった。
下を向き、不貞腐れているのは多分、誰が見ても一目瞭然なんだろう。
「それに、知ったとしてキミがショックを受けるかもしれないって思ったから」
「どうして、そんな風に決めるのよ」
「……嫌な事、思い出しても知らないよ?」


