「それで、なんだかんだで優しく抱きしめてくれるの!」
「……あら、そうなの。でも私、もう惚気話は聞きたくないのだけれど」

 前向きに変わったあたしでも変わらないことがある。それがナーディアのいる神殿に通うこと。それは今も昔も変わらず、ナーディアは呆れかえっていた。
 あたしからしてみれば、気軽に話ができる人として真っ先に浮かぶのは、やっぱり彼女なのだ。
 それに、家族だと身内だし、恥ずかしいこともある。そう言う面で、ナーディアとはとても話しやすい仲。

 小さい頃は頼りになるお姉さん的存在だったけど、今は女友達といったところ。
 ……ナーディア、昔とちっとも変らず若々しいんだもの。最近はいつか、あたしの方が先に年をとるんじゃないかって思い始めている。


 さて、そんなあたしは皇宮に戻り、暇を利用し、ナーディアにこれまでのことを話していた。
 あたしのことをずっと心配してくれた彼女。それなのにいろいろあって報告するのが遅れてしまった。
 此間行った港町のお土産も手に、彼女の元に行き、事の結末を話していたのだった。


「なんだかんだで、今幸せならそれでいいけど、……不思議なものよね、あのあなたがこんな風になるのだから」
「そうだよね、あたし自身が一番信じられないかも。でも、こんなあたしでも幸せになっていいんだって今なら言えるよ」
「今のあなたはとても輝いている。女神様もお喜びしているわ」


 そんな風に言ってもらえると一番嬉しい。その感情を素直に表に出し、のびのびとしていられる。重荷が下りたみたいに。