こうしてあたしたちは手分けして調べた結果、3日ほどですべて終える事ができた。
 長たちも、話し合いで分類を細かく決め、今はそれにそって実際に品物を分けているところ。役人たち総動員で働いたおかげでそちらも、2日ほどで終わった。
 大きな問題もなく順調に進み、結果をまとめられることをあたしは素直に喜んだ。


「何だかんだで、あたしたちの仕事が地道で大変な事は、よぉーく分かった。そして これからは、自分自身の力でやっていかなければならないこともたくさんあることも分かった」


 ホテルの一室で、エッカルト公やメイドたちを集めてそんな話をする。
 彼らはあたしの話に相槌を打ちながら聞く。若干無表情で引き攣った顔をしている輩もいるが、今のあたしにはそんなことは特に気にもとめていない。

「と、いうわけで今回の公務の報告は終わり! 今日一日はそれぞれ自由行動、ホテル内でのんびりするもよし、外に出て観光するもよし、有意義な一日を過ごしましょう」

 短い滞在時間のほとんどは調査の方につぶれてしまったが、一日だけでも自由に過ごすことができる。何より、それを糧にこれまで頑張ってきた。
 この一日は、自分へのご褒美なのだ。

「各々、解散」

 こうして過ごす時間が楽しいと思える。これまでのあたしなら怯えていた日常も、こんなに変わる事ができる。なんて幸せなことなんだろう。

 さて、あたしはこれからイリヤと共に街の様子を見たり、市場で買い物をしたり、海を眺めたり……一日の予定を頭の中で考えていた。

「あぁでも、二人で出かけるってだけで、とっても緊張する」
「何言ってるんだよ、いつも通りにしていればいいんじゃないの?」

「……って聞こえていたの!?」