「じゃあ最後に一つ。それでもやろうと思った、そのわけは?」


 あたしがそう聞くのも既に分かっていたのか、やはりといったような表情を浮かべていた。


「そこの、秘玉の主に懸けてみたかったからです。もし、彼の方とセリナ様の想いが同じならば、彼の秘玉は秘玉飾りとして成長する。秘玉を完成させる手段の一つに私もなりたかった……それに事を起こせば私が捕まるのは明白。一時でも皇族の方に忠誠心ではなく、欲を感じた私がこのままも中枢に居座り続けることが辛くて。それならば罪を被ることで、私の想いは報われる、再び忠誠心をもつことが許されると思ったのです」

 だから、ここに居る事が今はとても安心しているんです、そう語った。

 リンド公は、ちゃんと反省していたんだ。反省した自分に罰を、その罰が罪を被ることだというのか。
 そのことを為し得た今、ものすごく落ちついた状態でここにいる理由が分かった気がする。

「罪を受ける、それが貴方の願い?」
「はい。ただ一つ、もう一つ言うとすれば、息子たちに罪はない。どうか見逃してほしい、ということです」

 リンド公のしたことは極刑もの。彼一人の罪だけでは収まらないことは想像できる。
 それでも、息子を助けたいという想い。子を思わぬ親はいないということか。


「貴方の願い、あたし自身から皇王に伝えておきます」

 最後にそう伝えて、あたしたちは拘禁所を離れた。