秘玉の乙女は無作為に選ばれる。国の女であることもあれば、他国、はたまた違う世界……なんてことも。
 しかしながら、あたし自身がその者を目の前で見ることになるなんて。
 確かに、この国では見かけないような服。裾がだらしなく伸び、でも動く邪魔にはならない造り、よく考えられていると思う。
 明らかにヤツの国は文明が発達している国だろう。そんな国とシロラーナを比較されるのかと思うと無性に腹が立つ。

「で、これからどうするの」
「とりあえずセリナの部屋で共に過ごしてもらおうかと」
「むりむり!! なんで思春期の乙女がむさ苦しい男と過ごさないといけないの?」

 男と過ごすなんて、子どもの時に父親と過ごした時以来じゃないか!
 しかも向こうに良いように言いるめられ、勝手に話が進んでいる。

「こんな時にだけ乙女なんて言葉を使って。この際いい機会だから、本当の意味で乙女になるのはどう」
「非常にとげとげしいことを言うのね。万年ロリ娘」
「何とでもいいなさい。ということで、わたくしは帰ります。皇王にも伝えておきますから」

 と、勝手に言いたいことだけをずけずけと言って去ってしまった。
 嵐だ。疫病神だ。あんな成りをしておいて、とんでもない極悪非道女だ。