本来の性格のせいか、思うように動かない息子。でもまあこれは予想できたこと。

 それは諦めて、次の計画を慎重に立てた。
 次男が駄目ならやはり長男か。あいつならば、うまくやるだろう。それならば、皇女に息子と出会わせてみよう。

 男女分け隔てなく親切に接する長男ならば、皇女も気に入り恋に落ちるかもしれない。
 秘玉の主との仲は冷え切ったまま。可能性はゼロじゃない。

 そう考え、長男を都に呼びだそうとした。が、思わぬところで反対された。その長男自身に。

『何を考えているんですか! 姫様にはすでに秘玉の主がいるとのこと。そんな姫様に欲をもって接するなんてことできません。悪ければ反逆罪にされてもおかしくないですよ』

 長男は純粋に皇女の事を考えていたからこそ、そう言った。
 皇族に忠誠を誓うリンド家の者として。


 結局のところ、思うように進まない。次男は役に立たず、長男には裏切られ……もうこうなったら一人ででもやるしかない。
 最終手段を考えた。

 長男が自分から会いに行こうとしないのならば、無理やりにでも会わせればいい。

 とても危険な考えだった。何しろそれは皇女を無理やり皇宮から連れ出すということ。しかもミゼット州まで運び、長男に会わせようとすると、逃げ出さないように監禁する必要もある。
 上手くいけば自分は内戚になれるかもしれない。でもそれ以上に、見つかり極刑に処される確率の方が高い。


 ――それでも、やろうと思った。


 考えてからは速かった。内密に話を進め、足がつかないように、自分の代わりに実行してくれるものも金で雇った。