【長】黎明に輝く女王

「セリナ……よかった、無事で」

 お母さん。泣いている?


 あたしより少し背が高く、包み込むように抱きしめられその温かさを感じた。次には、それをも包む父の大きさ。
 安心したような笑顔を浮かべている。

 戸惑っているあたしに気付いたのか、隣にいるイリヤが、“無事な事を喜んでいるんだよ”と小さな声で教えてくれた。
 だけど、それは当然、両親の耳にも届いている。


「そうよ、大事な娘なんだから」
「俺たちの自慢の娘なんだから」

 あたしの顔をじっと見つめてそういう母の姿が今まで感じたことないくらい大きくて、温かい。
 身分とか関係なく、ただの親子として接するなんて本当に遠い昔の話で、今この時は夢なんじゃないかと思った。

 そして、そんなあたしたち3人を見て、リュカがずるいと言いながら輪の中に入り込む。

 ――これが、あたしの家族なんだ。


「セリナが思う以上に、キミの家族はとても優しくて温かいんだよ」

 その横から述べるイリヤ。彼もまた、あたしの中では大きな存在になっている。


 あたしの知らないところで、あたしは愛されていたんだ。心配されていたんだ。
 こんなにも、こんなにも強く。
 なのに、気付かなかったあたし。

「……ッ、うぅ」

 その時、あたしは家族の前で初めて声を上げて泣いた。盛大に泣いた。
 今までためていたものを、すべて出し切るかのように、解き放った。