あれからすこし経ち、だいぶ落ちついたかなと思った頃、あたしは決心した。自分の本当の気持ちについて離すという事を。
 直前になっても、気持ちは落ちつかず焦ってばっかだけど、今がちょうどいい時だろう。
 イリヤに今回の事で話したい事があると言った。もう後には引き返せられない。
 冷静を装っているように見えても、心臓は煩く跳ね上がり、内心とても緊張していた。

「あのね、イリヤに言わなくちゃいけない事があるんだけど」

 どう切り出していいか、いろいろ考えたが、結局普通に話すことにした。
 そんなあたしに対して、彼は普段と変わらず、でもどこか優しげに「なあに」と聞き返した。

「この事件の事、その前の夜の事、どこから話せばいいのか分からないけれど、あたし……イリヤのことが好きみたい」
「えっ?」

 単刀直入すぎたかもしれない。けれど、だらだら言うのは好きじゃない。それにすでに言ってしまった分、恥ずかしさを隠すように早口で告げた。

「あぁ! 別に迷惑とかならそれでいいのよ、ただ伝えておきたいとだけ思って。今回みたいに何が起こるか分からないから、それなら死ぬ前に一度伝えておきたいと思ってね……!」
「だ、だから、イリヤは何も言わなくていいの! ただ煩い女の独り言だと思って聞いてくれれば」

 あぁ、あたしって何を言っているのよ!

 恥ずかしさが勝っているのか、マシンガントークのようにどんどん口から思ってもいないような言葉が零れ出てくる。
 自分を隠そうとまた早口になり、訳のわからない事を言いまくる。

 そんなあたしに追い打ちをかけるような出来事が起こった。

「……なに、聞くだけでいいみたいに言っているんだよ。ばかじゃないの」

 あ、あ、あ……あ、あたし、抱きしめられている!?
 本日2回目ぇ!? いや、あの時は感極まって思わず体が先にでたって感じだったし、今回は明らかに冷静な時、いやあたしは冷静じゃないけれど、むこうはそのはずだよね。