【長】黎明に輝く女王

 しかし、騎士団に入っているこの男がなぜ今、こんな場所にいるのかが分からなかった。
 そんなあたしの考えは、既に読まれていた。

「今、都じゃ姫様が消えたと何時になく大混乱だ。騎士団も各地での調査に回されているんだよ。俺は出身地であるここに配属されている」
「……そう」

 あたしがいなくなって混乱しているというのは何となく分かる。それが心配の混乱なのか、いなくなってラッキーの混乱なのかは分からないが。
 それでも、こうしてあたしを探してくれるために頑張っている人がいるという事実、それがとてもうれしかった。

 いらない子じゃないんだ、そう思えて、安心した。

「夜明け前に、州境の森で姫様を発見したので、とりあえず保護したのさ」
「とりあえず、か」
「ここは兄貴の邸宅さ。皇宮には連絡済みだから直に迎えも来るだろう。それまでは来賓だから、自由に過ごして構わない」

 とりあえず、ここは安全であることは分かった。いろいろ分からない事が多々あるままだが、今はゆっくり休みたかった。
 リクハルドの言葉に甘えて、ここで過ごさせてもらおう。


「ありがとう。あ、でも一つ聞いていい? 森で見つけた時、どうして気絶させたのよ」

 そう問うと、彼は少し目を見開いたが、いつもの余裕そうな顔に戻り、笑いながら言った。