目が覚めて重い瞼を開いた時、まず感じたのは、部屋の明るさだった。

「……いたッ、ここどこ」

 どうやらベッドに寝かされていたらしく、身体を起こすと、頭に鈍い痛みが走った。
 その痛みで、今までの事が頭に甦ってきた。

 そう、確かあたしは夜に脱出しようと森を抜けてきて、ようやくって時に殴られて気を失った。


 つまり、ここにいる状況もあまりよろしくない。絶対に敵の手の中に違いない。
 それだけは確信できる。


「なのに、なんで」

 こんなにも、この部屋は立派な造りをしているの。

 それが今一番の疑問だった。今まで閉じ込められていた場所はとても粗末なところで、こことは正反対である。
 明らかに、場所が違うのは想像がつく。

 自分が寝ていたベッド、それすらも立派な調度品であり、王宮での自分のものと大して変わらないほどの立派なもの。
 壁にはタペストリーが飾られており、屋敷の主の趣味が伺える。
 小さな調度品や、インテリアの小物、飾り付けというか、配置までにこだわりの見える部屋だった。


 なんでこんな場所に、あたしは寝ていたのよ。
 お姫様の如く、優雅に眠りについていた。いや、実際、曲がりなりにもお姫様に違いないが。

 しかし、ここにこのようにした人物の目的はさっぱり分からなかった。